インタビュー

リル・ウェインはホット・ボーイである

 82年、ニューオーリンズに生まれたウェインのキャリアは、地元の新興レーベルだったキャッシュ・マネーに見い出された11歳(!)の時に始まっている。先輩のBGとコンビを組み、彼の『True Story』に参加したのが13歳、学校をドロップアウトしてマイク稼業に照準を絞ったのが14歳……と、レーベルの生え抜きとして早くから期待を集める存在だったのだろう。97年にはジュヴィナイル、BG、タークと組んだホット・ボーイズとしてデビューしているが、訛りを活かした特殊なフロウで全米規模のスターへノシ上がるジュヴィとBGを間近に見て育った影響の大きさは、現在のウェインが駆使するズルズルした語り口にも顕著だ。また、革新的なバウンス・ビートを量産したマニー・フレッシュがレーベルのお抱えプロデューサーだったことも、ウェインのビート対応力を育んだに違いない。そんな先達がCEOのバードマンとモメて去った後も、ウェインはレーベルの看板を守り続けている。彼こそが唯一無二のホット・ボーイなのだ。


BGの2000年作『Checkmate』(Cash Money/Universal)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2008年07月17日 23:00

ソース: 『bounce』 300号(2008/6/25)

文/出嶌 孝次