インタビュー

SEEDA(2)

自分はリスナー目線でやってる

――完成した手応えはどうですか?

 「そうっすね、毎回一生懸命にやってるだけですけど、自分も完璧じゃなくて間違ってるとこだったり劣ってる面もあるし、それも含めて客観的にトータルで納得できてます。前に版画家の棟方志功さんのドキュメンタリーを観てたら〈他力〉と〈自力〉について説明してたんですよ。自分が納得してなかろうが、計算してやる力以上の何かが働いてたりすることは確かにあるし」

――今回はBLさんとガッチリ組んで。

 「彼は監督ですね。他の人のビートもBL君と俺の両方の価値観的にOKになるものを選んだし、仮に良い曲でもリリックとかテーマがアルバムのカラー的に今回は違うだろ、みたいな感じで外したり」

――シメの“6 MILLION WAYS”を作ったDOVUASKIさんはアンビエントとかダブ・ミニマルを作ってる人のようですけど、多方面からビートを集めたいという意図があった?

 「じゃないっすね。俺の耳に震えがきたものを純粋に選んでBL君が最後に決定してるわけで、いろんな人のビートが入ってるけどそれもシンプルに耳で判断した結果です」

――とはいえ、最終的に今作はいわゆる日本語ラップを聴いていない人にも引っ掛かるビートが多いと思いますよ。

 「それなら凄く嬉しいっすね。いつからかいろんな人にも聴いてもらいたいと思うようになってたんですよね。俺的には、より伝わる、音楽性のより良いもので、自分が歌詞を乗っけたいと思ったビートばかりです。トラックメイカーも、サンプリングという手法を超えていきたいという人たちが集まった感じで」

――なんかハイファイな感じというか、USのメインストリーム的なニュアンスも強くて。

 「BL君は俺と何かやるならその時点で互いにいまのメインストリームを意識する必要があると思ってると思う。メインストリームの音ってクォリティー勝負の世界だし、BL君がめざしてるのもそこだと思うんすよ」

――最近だとどういうのを聴いてますか?

 「独断と偏見で俺らがイケてると思ってる人たち……最近だとマイク・ジョーンズとか、ケリ・ヒルソンとか、音で言うとデンジャ、ティンバランド、カニエ、そのへんを何でも聴いてます。あ、ジェイダキスが超良かったっすね。正直いまの時代には古いスタイルかもしれないすけど、あの歯切れの良さとかリリックは相当ヤバいですよ」

――というか、SEEDAさん自身がずっとリスナー気質で、今回は特にそれが出てますよね。

 「そう言われると嬉しいっすね。ずっと好きで聴いてるから。だからあれもこれも好きだ嫌いだって言いたい(笑)。アーティストである前にリスナー、ファンですね。メインストリームとか嫌いな人もいると思うんですけど、USのメインストリームで活躍してるラッパー、みんな最低1曲は好きな曲ありますね。日本のものもそう思って聴いてます」

▼SEEDAのアルバムを一部紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2009年05月28日 17:00

更新: 2009年05月29日 20:02

ソース: 『bounce』 310号(2009/5/25)

文/出嶌孝次