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インタビュー

草食か肉食か……それが問題だ!?

もう古い話ではありますが、空気は読まんよ。2月、TERIYAKI BOYZの“SERIOUS JAPANESE”において、SEEDAとOKIの“Sai Bai Men”から引用があり、その後の聴き取りにくいスキットも含めてディスられたと〈解釈〉したSEEDAとOKIは彼らへのユーモラスなディス曲“TERIYAKI BEEF”を動画サイトにアップ。アンサーを呼び掛けたが、VERBALは返歌の代わりに自身のポッドキャストにSEEDA(OKIは?)を招く。3月、番組収録にて〈日本にビーフは早い。自分のファンはまだ理解できない〉と表明し、事態は収束(その後にOKIは単独で素晴らしい“Shall We Beef”を発表)──というのがビーフ(?)の顛末です。日本でのディスといえば、ZEEBRAが降谷建志(Dragon Ash)を口撃したキングギドラ“公開処刑”を連想する人が多いでしょう。当人の心情はさておき、返答できない相手を一方的に叩く格好になったことで、〈ディスって何て酷い行為なんだ!〉という一面的なイメージを抱いたままの一般リスナーも多いはずです。だとすれば、ヒップホップを文化的に広めつつ活性化させることを旨とするVERBALなら、〈本来ディスはスキルの勝負なんだよ〉〈こうやって返してやり合うんだよ〉というおもしろさをなぜファンたちに教えないのでしょう? ディスが(MCバトルの延長にある〈遊び〉のコミュニケートではなく)暴力的な蛮行と思わせたままにしたいのでしょうか? あるいはそもそも同じゲームの参加者じゃなかったのか。私もVERBAL同様、すべてのMCがバトル体質である必要はないと思います。ただ、そういう人たちは〈誤解〉を招かないよう、存在しないヘイターを仮想敵に設定した紋切り型のボースティングをそろそろ止めるべきでしょうね。
▼格好良いディス曲を収めた作品。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2009年05月28日 17:00

更新: 2009年05月29日 20:02

ソース: 『bounce』 310号(2009/5/25)

文/出嶌孝次