SEEDA(3)
ムカついてもエンターテイメントにする
――では、中身について伺う前に、制作期間と重なって発表された“TERIYAKI BEEF”とか、その後のVERBALさんのポッドキャスト出演とか、いま振り返ってみてどうですか?
「まあ、アルバムがあってもなくてもやってましたよ。TERIYAKIの曲を最初に聴いて、〈何だ? この胸の引っかかりは〉って思って、OKI君にも電話して……ムカついたけど、速攻でオイシイね(笑)ってエンターテイメントな考えになりました。正直、思いっきり曲でやり合って盛り上がりたかったですよ」
――フリースタイルもありましたけど。
「……まあ、ラッパーとして考えればもういいです(笑)。別に彼自身が嫌いとかそういうんじゃないし」
――一連の出来事が具体的に今回の作品に投影された部分はあります?
「“GET THAT JOB DONE”と“DEAR JAPAN”ですね。“GET THAT JOB DONE”は、“TERIYAKI BEEF”の時に〈メジャー対アングラ〉とかよく言われて、ちょっと待てよ、そこ垣根じゃなくねえ?みたいな。俺もメジャーだぜ、って歌ってます」
――その曲では〈売名行為〉もハスリングだと言い切ってますが。
「CDを売る仕事なんで、自分を売るのが当然だと思うんです。セルアウトどうこういうのももう古いっすよね」
――まあ、日本のヒップホップ観はそういう古い律儀さがあるというか、ポップ方向に振れた人も〈セルアウトしてない〉ってわざわざ表明したり。おもしろいかどうかで判断されればいいと思うんですけどね。
「正しいかどうかわかんないですけど、ある意味頑固な人たちの音楽じゃないですか、ヒップホップって。ただ、時代っていうものの流れに対してメッセージが生まれるわけで、頑固でもいいけどその変化に対応しないと、時代のことを歌えないって思うんですよ」
▼『SEEDA』に参加したアーティストの作品を一部紹介。