インタビュー

SEAN PAUL

待たせたな! 男を勃たせ、女を濡らすダンスホール界の王者が4年ぶりに降臨。もっと激しく腰を揺らすには、もっと熱く燃え上がるには、もっと素敵に愛し合うには、やっぱりこの男が必要だ!!

すごく強い炎なんだよ


  「2003年から前のアルバムまでは、俺の存在意義すべてがとにかく多くのショウをすることだった」と、ショーン・ポール。「US全土、世界各国、ダンスホールが受け入れられそうなところに出向いて、俺の音楽を伝えた。だから、自然とその場のムードを盛り上げるクラブ向けの曲を中心に作っていたことになるね」とも。この期間に、ショーンは21世紀最強のレゲエ・アンバサダーとしての使命を一旦まっとうしたとも言える。

 USのトップ・アクトと肩を並べつつ、ジャマイカのシーンにも目配りをしないといけないのが、レゲエのフロント・ランナーたちの使命。「いまどきのジャマイカのキッズはギャングスタな曲が好きみたいだけど、それは俺がやるタイプの曲じゃない。ほとんどの曲がホラー映画みたいな音になっているだろ。怖い感じのトラックは俺に向いてないし、誰も俺の口からギャングスタなことは聴きたくないと思うから、しばらくゆっくりしてから、自分らしいバウンシーなトラックを探しはじめたんだ」と、自分の立ち位置を分析。〈ギャングスタな曲〉とは、当然マヴァードやヴァイブス・カーテルらの音楽を指す。それを確認したところ、「個人的に彼らの音楽が嫌いなわけじゃない。ただ、俺は愛について歌うほうが得意だし、やっぱり自分のスワッグ(振る舞い、らしさ)を大事にしないと」。ごもっとも。

 ニュー・アルバムの約60%を聴いた感じでは、〈ショーン・ポールのスワッグ〉を死守しつつ、トピックの幅広さと表現力でパワーアップしたところを見せつけている。タイトルは『Imperial Blaze』。〈Imperial〉が付いている以上、〈王者、キング〉を連想するのは致し方ないところ。

 「〈王者の炎〉という意味で、俺がキングだって言っているつもりはないよ。俺がその炎を司る人間で、人々を導くような炎が俺の音楽のなかに宿っているってこと。すごく強い炎なんだよ。みんなのモチヴェーションを上げるようなタイプの人間だって意味だね」。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2009年08月26日 18:00

ソース: 『bounce』 313号(2009/8/25)

文/池城 美菜子