インタビュー

MATISYAHU

  クレジットを見ずともスティーヴン製とわかってしまう、特異なリズム・ワーク。〈もっと大きい音で聴かせてくれ〉と懇願してしまいそうだ。マティスヤフのニュー・アルバム『Light』から先行カットされた“Smash Lies”は、お得意のダークでハードコアなダンスホール・チューンに。地を這うバスドラに飛び交うシンセ、そしてアクセントにはピアノとシタール系の音。ピッチ自体は速くないのに疾走感を備えているのは、何種類もの〈チッチッ〉音のせいか。また、もうひとつの参加曲“Motivate”ではロッキンなエレキ・ギターを前面に押し出しているが、手拍子とハイハットの刻みで驚くほどレゲエになっている。音数は相当多いのに、歌い手の邪魔は決してしない。だからといって、平凡とは程遠いプロダクション。これこそが時代に愛されるスティーヴン・サウンドの魅力なのだなと痛感させられた。

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掲載: 2009年08月26日 18:00

ソース: 『bounce』 313号(2009/8/25)

文/魚住 唯