インタビュー

AKON T・ペインだけじゃない! 世界を動かす新作が到着!!


 「T・ペインは血の繋がった弟みたいだな。もう同じファミリーさ。彼のキャリアが始まった時からの仲だし、互いのアルバムでは毎回どの曲で共演するか相談するんだ。彼の新作にも参加したし、これからも俺たちは共演し続けていくつもりだよ」。

 表舞台はT・ペインに任せて、自分は総監督として一歩引いた地点から後進を支えてゆく――エイコンは最近のインタヴューにおいて、現在の自分の役割についてそう説明していた。実際、今年に入ってからの彼は客演活動を控え、みずから主宰するレーベル=コンライヴを軌道に乗せることに尽力していた印象がある。その甲斐あってカーディナル・オフィシャルやコルビー・オドニス、レディ・ガガといった新人の作品は軒並み好成績を記録。今回それらがひと段落したところで、延び延びになっていた自身のサード・アルバム『Freedom』をやっとリリースできることになった。

「前作『Konvicted』のレヴェルアップをめざす、というのが今回のコンセプトなんだ。前よりもインターナショナルでグローバルだし、なんといってもポジティヴでクリエイティヴだ。『Konvicted』よりも楽しくて明るくて温かいエイコンが聴けると思うよ」。

 そんなアルバムのトーンを象徴するのが、すでに全米チャートでTOP10入りを果たしたリード曲“Right Now(Na Na Na)”だ。

「“Right Now”はユーロ・クラブっぽい雰囲気の曲。ビッグなシングルになる可能性を秘めた曲だね。アーティストが成長すると共に音楽も成長する。ツアー中にはいろんなサウンドを吸収するし、実際にいろんな音楽を聴く。だから、俺は自分の聴きたいと思う音楽を自分でクリエイトしているだけさ」。

 その“Right Now(Na Na Na)”以下、アルバムはトランシーなプロダクションを基調としているが、“Don't Matter”の流れを汲む“Sunny Day”、“Mama Africa”の続編的な内容の“Freedom”など、得意のピースフルで包容力のあるミディアム曲も要所に挿み込まれている。ゲストにはリル・ウェインやヤング・ジーズィ、ワイクリフ・ジョンらの名前が確認できるが、彼らビッグネームと並んでカーディナルやコルビー、レイ・ラヴェンダーを大々的にフィーチャーするなど、ここでも可愛い弟分たちのフックアップに余念がない。

「コンライヴからは今後もどんどんアーティストを輩出していくよ。それに、アパレル・ラインも精力的に展開していく予定。アーティストとしては、これからはもっとポジティヴな面を強く打ち出していきたい。クラブで楽しめるような曲をいっぱい作りたいね」。

 囚われの身(konvicted)から、解放(freedom)へ。念願の世界制覇に向けて、エイコンは着実に歩を進めている。

▼『Freedom』に参加したアーティストの作品を一部紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2008年11月27日 22:00

ソース: 『bounce』 305号(2008/11/25)

文/高橋 芳朗