インタビュー

コーネリアス(4)

もっと、より小さな子供に戻る

荏開津 ……いまでも、モノを集めたりしていますか?

小山田「いや、ぜんぜん集めてないです」

(取材陣の一部が「おおお……」とため息)

村松 端的に言って、やっぱ趣味が変わったんですか?

小山田「いや、そんなに変わったわけではないと思う。前もそんなすごく集めてたっていうわけでもなくて。ただこう、レコードとかね、そういうものはたくさん買ってたけど。でも、いまはレコード屋さんもたくさんあるし、ネットでもすぐ買えるし、そんな自分でなんでもかんでも持ってる必要ないし。そしたら前のように、バカみたいに買い物することもなくなった」

村尾 『Fantasma』のころは小山田さんのなかの子供の部分が〈世界ってこんなに楽しいんだ!〉ってはしゃいでる感じがあったんですけど、自分の子供と向き合うことで、自分がこれまでアーティストとしてもっていた子供の領域に変化はあったりしたんでしょうか?

小山田「再発見みたいなことがあったりします。もっと、より小さな子供だったころの自分の視点をフィードバックさせてみたりっていうか。やっぱ子供は……たとえば、ウチの子も〈いないいないばあ〉みたいなことって、すごく喜ぶ(笑)。子供のころを思い出すと、たとえば雨が〈ポチャン、ポチャン〉ってのをボーッと見て30分、それでOKとか、〈お母さん帰ってこないなあ〉って、じゅうたんを指でこうしていじってるだけで1時間とか、あったでしょ(笑)」

荏開津 たしかに(笑)。

小山田「それって子供にとってはけっこう楽しいことで。そういう感じが、また自分に返ってきてたりする」

村尾 それは本当に、新作の音に反映されてますね。

小山田「うん。そういう感じの子供の楽しさがね。『Fantasma』は、もっと小学校高学年ぐらいの子供っていうか」

村尾 うんうん、オモチャが必要な。

村松 ディズニーランドに行きたくて。

小山田「みたいなね。もうちょっと、下の年齢の子供の感じっていうのが、今回は出てるかなって気がするんです」

村尾 もっと戻ってる(笑)。よりシンプルに。

山田 そうすると、最初のおじいちゃんの話とも重なってきますね。

小山田「そうですね。おじいちゃんになるともう、よりシンプルにね」

荏開津 でも、それで豊かになったんですよね。シンプルになって。装飾なしで。

小山田「そうかもね」

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2002年05月09日 15:00

更新: 2003年03月07日 17:59

ソース: 『bounce』 226号(2001/10/25)

文/荏開津 広(ライター)、フミ・ヤマウチ(ライター)、松永耕一(タワーレコード渋谷店スタッフ)、村尾泰郎(bounce編集部)、村松タカヒロ(bounce編集部)、山田蓉子(bounce編集部)